2012年1月21日土曜日

私とタルトタタン

何でかな... 私とタルトタタンの出会いってそんなに昔じゃないし、初めて実際食したのも一年半前ぐらいのことなんだけど、なぜか、ずっと求めていた、ずっと食べ続けていたい、私の一番好きなスウィーツだと断言できるぐらい特別なお菓子です。
りんごは元々大好きだし、フレッシュな生のりんごも大好き!これはこのままの方がいい、と思うりんごはそのままいただきます。
タルトタタンはその美味しさをぎゅうっと濃縮させたりんご本来の味を生かした本当に贅沢なスウィーツだと私は思います。
余計な添加物を一切加えず、パイ(バートプリゼ)の他は極端に言えば砂糖しか使ってないのだもの。それを煮る時間や温度や鍋やオーブンなどの機材や手順で出来上がりも全く違うからこそ、「自分好みのタルトタタンを作り上げる」という工程は、りんごの皮を剥く時点からワクワクさせてくれるものでした。
最後に型からひっくり返す時のワクワク感、ドキドキ感、そして不安な気持ち、夜中に冷蔵庫に入れて朝ひっくり返す時など、気になって夜眠れなくなるほどでした(汗)
そのくらい、タルトタタンをひっくり返す喜び、は私にとって特別な思いで、たとえ失敗しても次の楽しみが出来る、と思えるほど、夢中になっていました。
冒頭の画像は今の時点で私の最高の出来のタタンです。

思えば、昨年10月末に初めてタルトタタンを作り始めて、11月末ぐらいには私のタルトタタン決定版!などとほざきながらレシピを上げていました(大汗)
まだまだひよっこ、そんな甘いものではないのに、お恥ずかしい。
味はそれはそれでコンポートみたいで美味しかったのですが、やはり濃縮度がまだまだでした。
なんとなくですが、タルトタタンは「どれだけりんごの旨味を濃縮できるか」にかかっているような気がします。
あと、カラメルの苦味と甘味のぎりぎりのところをりんごと上手に合わせりんごにどこまで浸透させられるか、全体の色にも関わってきます。鼈甲色よりももっと濃い芳醇な苦い甘さ、そんな層の厚い味を出せたらきっと理想のタルトタタンになるのではないか、と思います。

年末に一旦、「もうこれ以上のものは出来ないだろう」と自分なりに終止符をつけたつもりでした。
紅玉からふじに変え、レシピを微妙に調整しながら「これだ!!」と思える味と形になったからでした。
なので、友達にホールでプレゼントしてしまったりしてしまいました。まだまだだったんですけどね…(汗)

そんな奢り高ぶった私の目を覚まさせてくれたのは、年が明け以前から行きたいと思っていた渋谷Bunkamuraの地下にあるドゥ・マゴ・パリのカフェのタルトタタンでした。
この漆黒に近いようなタタンの色!まるでチョコレートケーキと見間違えるようなふか~い焦げ色です。でも、いただいて見ると全く苦味は無く、あまり甘くないのですがとても芳醇なふか~いりんごの旨味が詰まっていました。お店の方にちょっと聞いたらやはり相当長い時間かけて煮ているようでした。食感は、水分が少なく、餡子とか干し柿の感触に煮ています。ぎっしりしたペースト状の中にりんごの旨味をぎゅうぎゅう詰め込んだ感じでした。これはまさにプロの味、特別な機材を使わないととても家庭で作れる味ではないと思いました。
ただ、負け惜しみではないのですが、私の好みとしてはもう少し元のりんごらしさを残してもいいのじゃないかな、とも感じました。濃縮度としたら、以前何度かいただいた京都のラ・ヴァチュールの方が私好みかもしれません。あくまでも私は、ですが。
90歳のおばあちゃまが何十年も作り続けた究極のタルトタタンだと私は思っています。
そんなわけで奮起した私はりんご煮る時間を3倍時間かけてみたり(左の画像)
コンロではなくオーブン中心に煮てみたり(煮方が足りなく色づきが悪い)など失敗作を繰り返しながら、ようやく出来たものが冒頭と以下の画像のタタンです。

かなりの焦げ色ですが、そんなに苦味は無く、りんごの甘みと酸味が調和したどっしりとした密度の濃いタタンになりました。同じものが二回焼けたので、多分これからもこのレシピで焼いていけると思います。
ここまで来る間タルトタタン20台は焼いていると思います。りんごにすると一台に付き5個から8個使っているので140個ぐらい使った計算になります。砂糖の量は、などと考えると怖くなるのでやめます(笑)
子供たちも、試食でタタンに関してかなり口が肥えました。今回のタタンは子供3人が口を揃えて、「今までで一番美味しい!」と言ってくれました。試食する方も大変だったでしょう(笑)固唾を呑んでじっと感想を待つ母の前で食べるのですから(汗)感想の語彙も豊富になってました(笑)

なんだかほっとした気持ちと、淋しい気持ちもあります。決して改善の余地が全く無くなったというわけでは有りませんが、第一にりんごの季節ではなくなること、そして今年は昨年の台風の影響でりんご自体が品薄なため高騰しているそうです。そんなこともあり、あと何回この冬焼けるかなぁ~とちょっと淋しい気持ちでいます。しつこいですが、自分の覚書のためにまたレシピのおさらいをブログにアップするかもです。
もし、こんな長いレポートを読んでくれた方がいらっしゃるのなら、ありがとうございました。そしてお疲れさまです。

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